ボードゲームを評価するということについて

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 201728日目の記事として書いたつもりです。

人はあらゆるものを評価することができます。映画、小説、漫画、絵画、音楽、食べ物、そして、他人、それから自分自身をさえも。しかし、どこまでもそれは主観的なものに留まり、客観的な評価というのは存在しえません。自分の感ずるものと他人の感ずるものとの間には(それが同じものに起因するとしても)永遠に埋まらない断絶があり、感じたそれは、ただただひたすらに近いだろう同じだろうという根拠のない無責任な思い込みでしかありません。
本稿は、ボードゲームを評価するということについて、レビュアーの存在意義とシュピール亭としての立場表明を行うものであります。

さて、前段で述べた通り、評価はどこまでも主観的です。それが受け手の参考になるか否かは全く担保されていません。
結果、二種類のレビュアーが存在します。主観的なタイプ、客観的であろうとするタイプ。
実際のところこれは曖昧に混じり合ってなるもので、どちらか極端に振れるケースというのはあまりありません。
前者は好みを前面に押し出すことで、評価の一定性を担保しようとするものです。受け手は好みの近いレビュアーを見つけることで、それらの評価を参考にすることができます。

後者はできる限り主観を排除し、客観的な事実をもって、評価の質を担保せんとするものです。シュピール亭はこちらに該当します。

客観的な事実とは何か。それは他作品との比較に他なりません。1つのゲームを遊んだ際、その斬新さを評価することはできません。他のゲーム同士を比べることで、初めてその特徴が浮かび上がってくるのです。
では、全く同じシステムのゲームが2つあった時、どのように評価するべきでしょうか。アートワークの良し悪しでしょうか。シュピール亭においては、評価の軸をシステムに置くことで、主観の入る余地を減らしています。つまり、この場合はより早くシステムを開発したものを高く評価します。ガイスターと天球盤では、前者を評価するということです。
もう少し具体的な話をしましょう。シュピール亭本編でも触れたことですが、ハゲタカのえじきは相手の心理を読むゲームでありながら、心理を読めたからといってそれを活かすことができない場面が存在します。もちろんハゲタカのえじきは偉大なゲームでありますが、後発のゲームにおいてはその問題点を認識し、その解決策を提示するべきです。例えば、貨モッツァにおいては、相手の最強のカードに合わせて出すべきカードが用意されており、このようにゲームはより面白くなっていくはずなのです。

斬新さを評価するのも同様の理由です。ゲームシステムの開発は、面白さの発明です(クニツィアは発見と言いますね)。面白いシステムをより面白くしたデザイナーを評価する一方で、新しい面白さを見つけてくるデザイナーもまた評価するべきです。


客観的な事実として、もう一つ、面白さがゲームに起因しているかどうかがあります。
これも本編からの引用になりますが、私の世界の見方においては、偶然の面白さが笑いを呼んでいますが、それは起こるべくして起こる偶然で、必然を偶然に見せかけることで面白さを生んでいます。これはゲームシステムに起因した面白さと言えます。
また、セッションにおいて、接戦というのは面白さを生んでいると言えるでしょう。そのような調整がされているゲームであれば、それはゲームに起因した面白さと言えます。しかし、ゲーム中どの手を選んでも結局得られる点数が変わらなかったとしたら? トップは減点、最下位は加点という仕組みがあからさまであったら? これらはうまく隠さねばなりません。そうでなければ、プレイヤーは自分の選択に意味を感じることはできないでしょう。
面白さを生むためのアプローチは無数です。それらがうまく機能しているか、そもそも面白さを生むシステムになっているか、という視点を持つことで、客観的な事実としてそれを認めようというものです。


最後に、シュピール亭において客観的であろうとするため、もしくは正しくあろうとするためにしていることをまとめておきます。
・ゲーム自体の面白さとセッションの面白さを切り離す。
・主観的になりそうなゲームについては話をしない。
・話者の背景については極力触れない(発言者が誰かというのは、受け手の客観的な受け取り方を邪魔するものであるから)。


あとがき
ゲームに対して、好みとか好みじゃないとかはあるでしょう。しかしだ、それとは全く別の話として、ゲームの質の良し悪しもまた存在する。質の話を好みの話にすり替えたくない。面白いゲームを作ったゲームデザイナーを、論理的に説得力を持ったかたちで評価したい。そうすることで、さらなる面白いゲームが創出されるのを期待しているのだ。


シュピール亭
三田

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